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ペルチェ素子
[2005.07.08]


購入
 いろいろとインターネットで調べていて興味がわいてきたので、秋月電子で6A版と5A版のペルチェ素子を買ってみました。サイズは、40x40mm、30x30mmです。

とりあえず通電
 素子の最大電圧が15Vくらいなので、指で両面を触りながらとりあえず5Vくらいかけてみました。おぉ、すごい。人差し指は冷たいのに親指は温かい。で、次に12Vをかけてみると、…お、親指が熱い!人差し指は凍りそうに冷たい!

素子の性質
 ペルチェ素子は、片面からもう片面に熱を移動させる素子なのですが、電流が多くなると、発熱も激しくなってしまいます。ジュール熱でいうと、5Vだと2Aぐらい流れるので8J/s(2cal/s)ですが、12Vだと6Aで71J/s(16cal/s)となります。買ったときについてきた効率のグラフでも、面同士の温度差10度で1A、30度で2A、60度で4Aぐらいが一番消費電力あたりの熱移動の効率がいいようです。
 あ、150度を超えると内部の金属が溶けて物理的に破壊されますので注意を。

実験1
 素子の両面の温度差が少なければ少ないほど少ない電流で効率がよくなるので、複数枚重ねて使う方が効率がよくなります。 ということで5A版と6A版を重ねて、放熱側にヒートシンクとファン(今回は右図のブローアーでやってみました)を取り付けます。左図のような感じに。
 これだと、直列につないで12Vかけても、せいぜい0度くらいまでしか下げられませんでした。原因としては以下のようなことが考えられます。
・5A版と6A版を1枚ずつ重ねても放熱効率が上がらなかった。
・放熱側のヒートシンクが小さい。
・ヒートシンクの目が細かいため、空気の流れが弱くなった。

実験2
 ということで、実験1の反省点を生かして写真のようにしてみました。今回は6A版の素子を2個追加して、1段目(放熱側)に2枚の素子を並べ、アルミ板を挟んで6Aを1枚、さらにアルミを挟んで5A版を載せています。6A6A直列、6A5A直列を並列に12Vかけています。
 写真の吸熱側ペルチェにくっついているものは、サーミスタ素子(温度によって抵抗値が変わる素子)です。この抵抗値と温度は曲線のグラフになっているので、メーカーから出ている表と、表にない値は近い値からB定数という定数を計算して近似式から計算します。ちなみにこのときの気温は、7.8KΩだったので27度くらいですね。素子表面は、53.0KΩなので、マイナス14度になっているようです。計算方法は下の方で解説します。


実験3
 実験2でもちょっとヒートシンクの温度が高めだったので、ヒートシンクを大きくし、ブローアーも2個付けてみました。
ヒートシンクの目がかなり粗めで、写真横方向に板が立っている形状なので、両側からブローアーで吹き込む形になっています。電源は実験2と同じく、6A6A直列、6A5A直列を並列に12Vかけています。で、右の写真は61.1KΩまで行ったところです。この後、最大62.0KΩまで行きました。

今回の実験の最低温度は、-17度でした。


そして
 このつなぎ方なら1.5倍くらいの電流を流しても大丈夫だと思うので、電源を手に入れ次第追加実験してみようと思います。というか、ペルチェを実験するときに一番大変なのは、電源装置だと思います。実験2,3では12V6A使っていました。18Vかけると9Aも使います。かなりでかい電源が必要になります。もう少し電圧が高いものなら、全部直列にして、36V4.5Aとかでもありですね。ということで追加実験はいつになるかわからないです。




おまけ:サーミスタ素子の温度計算
 今回使った素子は、石塚電子の103JTです。千石電商で売ってます。製品カタログページのTHERMISTORのページにあるPDFのデータシートに抵抗値と温度の表や近似式などが載っています。温度は絶対温度(K)になっているので注意。

71.02KΩで-20度(253K)、27.70KΩで0度(273K)なので、B定数を求める式に代入してみます。


B = { ln(R1) - ln(R2) } / { (1/T1) - (1/T2) }
 数値を代入
B = { ln(71.02) - ln(27.70) } / { (1/253) - (1/273) }
 = ( 4.26 - 3.32 ) / ( 0.00395 - 0.00366 )
 = 0.94 / 0.00029 = 3241K


ちなみにデータシートに載っている25度から85度のB定数は3435Kになっています。 で、-10度(263K)では43.67KΩなので、そこを中心にして近似式に代入すると


R1 = R2 * exp[ B * { (1/T1) - (1/T2) } ]
ln( R1 / R2 ) = B * { (1/T1) - (1/T2) }
T1 = 1 / { ln( R1 / R2 ) / B + (1/T2) }
数値を代入
T1 = 1 / { ln( R1 / 43.67 ) / 3241 + (1/263) }

53.1KΩの場合
T = 1 / { ln( 53.1 / 43.67 ) / 3241 + (1/263) }
 = 1 / { 0.1955 / 3241 + 0.0038 } = 1 / 0.003918 = 259K (-14度)
62.0KΩの場合
T = 1 / { ln( 62.0 / 43.67 ) / 3241 + (1/263) } = 255K(-17度)


こんな感じです。あ、そうそう。最初のうちはいろいろと計算してみても全然正しい値にならなかったのですが、原因は、Windows電卓のlogボタンが常用対数だったということでした。Windows電卓にもlnボタンがあるので、この自然対数でやりましょう。あと、expは自然対数の底の累乗です。








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